2017.9.12

日本VS米国?インターンシップ制度の違い

同志社大学 インターン

松井彩


近年、インターンシップへの関心が高まっています。

インターンシップ制度を取り入れている企業は大企業では40%近くにものぼっています。

目的として、採用のミスマッチの解消とよく言われています。

みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?企業は優れた人材を見つけ、自社に入社して欲しいと思っているわけです。

インターンに参加することは「働くとはどういうことか」を知ることで、自分自身のキャリアを考えるきっかけが得られます。

また、大学で学んだことが実際に社会で試すことで、学習意欲を喚起させることという意味もあります。

しかし実際、日本で行われているインターンシップ制度は本来の狙い通りのものばかりではないのが現状です。

そこで、アメリカと日本のインターンシップ制度の違いについて見てみましょう。

 

日本のインターンシップ

日本でインターンシップ制度が導入され始めたのは1990年代後半のことです。

1997年に「インターンシップとは、一般的には学生が企業等において実習・研修的な就業体験をする制度のことであるが(中略)学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリに関連した就業体験を行うこととして幅広く捉えている。」と文部省等が連名で発表しています。

 

この考え方は現在も日本のインターンシップの位置づけと言えるでしょう。

 

インターンシップの目的は「学生の成長を促し、社会で活躍できる人材の育成」と言われています。

また、経団連によれば、「インターンシップは、産学連携による人材育成の観点から、学生の就業体験の機会を提供するものであり、社会貢献活動の一環と位置付けられるものである。

したがって、その実施にあたっては、採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行う必要がある」とされています。

 

インターンシップはあくまで学生のキャリア形成支援のためのものであり、採用とは一線を画するもの、と公言されているのです。

 

日本のインターンは短期的でセミナーや説明会型のインターンシップが多くあります。

もちろん企業を知ることや刺激を受けることは大切ですが、インターンシップとして、学生の成長を促すという意味では不十分であるのかもしれません。

 

米国のインターンシップ

米国ではインターンシップ制度自体に100年以上の歴史があり、既にインターンシップが社会に溶け込んでいます。

また、大学に入ってからでなく小学校のころから親の職場見学に行くイベントが開催されていたり、高校生になると夏休みを利用して数週間の職業体験のプログラムも用意されています。

このようなことからわかるように、日本よりも早くから就職を意識し、それに対して社会が協力的であるように感じます。大学生になると、もちろんインターンをする大学生も非常に多いです。

 

米国のインターンシップは日本のように短期間もものではなく、23ヶ月かけて行われるものが一般的です。企業側が大学に赴いて、参加者の選考を行うなど学生への積極的なアプローチが行われます。

 

なかでも採用直結なインターンも多く、学生の3分の1以上がインターンを経験した学生の企業に就職しています。またその数は増加傾向にあるといいます。

 

そもそもアメリカでは、新卒が即戦力として期待されています。

アメリカでは、学生が大学卒業後、すぐに就職できる人は少なく、一般的に卒業後、1~2年までは新卒として就職活動を行っています。即戦力として、就業経験者に引けを取らないアピールをする必要があるため、スキルを磨いているのです。

 

■米国に学ぶこれからの採用のあり方

一方日本では、0から自社の社風に合う人材に育てるというような慣行が強いため、日本とアメリカでは新卒に対して求めるものが異なっています。

その差がインターンシップのあり方も変えているのでしょう。

 

最近では、日本でも長期のインターンシップや採用直結型のインターンシップも増えてきています。しかしまだ日本では、インターンシップ自体が未成熟です。

 

早い段階から「自分の興味は何なのか」「将来どうなりたいのか」「関心があるのはどの分野なのか」等々、より専門性を身につけることを意識し、その専門性を基にインターンシップを利用して職場体験し、そして、学生は専門性を活かせる企業を選択し、企業は専門性が高い、企業文化に合った学生を採用することで、採用後のミスマッチをより減少させていくことが理想的なのではないでしょうか。

 


この記事を書いた人

同志社大学インターン

松井彩